第5回 生成AIは授業でいつ使えるのか?

新しい友人ChatGPTとの出会い

皆さん、こんにちは。テラオカ電子です。現在、私の勤務校では、ChatGPTを始めとする生成AIを授業等での教育活動に使うことが禁止されています。いきなりタイトルで生成AIはいつ使えるのか?」と、怒っているわけではありません。また、堀江貴文氏は、『ChatGPT vs. 未来のない仕事をする人たち』の中で、「ChatGPTの禁止は基本的人権の侵害だ」と言っていますが、そんな過激なことを述べるつもりもありません。今回は、私の新しい「友人」になったChatGPTとの「なり染め」を時系列に述べます。どうか最後までお付き合いください。

最初にお断りですが、私は、AI研究者でもAI教育者でもありません。どちらかというと最新テクノロジーに関して、「遅滞者」です。実際、私は、スマホを持っていません。なのでLINE(セキュリティに問題があると考えているからではありません)も使っていません。正確に言うと、子どもから使わなくなったスマホを譲り受けて、コンピュータ端末として使っています。当然、電話はできません。なので、私にとってChatGPTは、「異邦人」のようなものなのですが、それでも結構忘れられない出会いがありましたので、このブログで紹介します。皆さんの生成AIとの関りもコメントしてくれると嬉しいです。何しろ、「新しい夜明け」が始まったと言われているのですから。

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高校生の時、観た映画です。人工知能「HAL」が反乱する話です。小説の方も読んで予習して映画を観たのですが、良く分かりませんでした。今思うと、その理由は、具体から抽象への読解力が不足していたのではなかったかと。ちなみに、映画の冒頭で、宇宙ステーションに向かう連絡船の船長たちが、昼食にマクドナルドを食べるシーンがあります。田舎に住んでいたので、当時、まだ食べたことがありませんでした。

【サトマイさんの「【読解力】社会人1万人以上見て分かった”文章読めない”人の特徴」はこちらから】

サトマイさんが、その具体から抽象への読解力について、分かりやすく言語化してくれています。

目次

ChatGPTとは

ChatGPTは、OpenAIという米国の会社が提供している人間のように自然な会話ができるAIチャットサービスです。2022年11月に公開され、以降、大きな話題となっています。似たようなものには、GoogleのBardやマイクロソフトのBingなどがあります。ちなみに、今日(11月19日)の新聞で、OpenAIの設立者で最高経営責任者(CEO)のサム・アルトマン氏が、同社を退社すると報じています。この世界は、目まぐるしく変化しています。

ChatGPTとの出会い

私がChatGPTを初めて使ったのは、翌年(2023)の1月です。何がきっかけだったか覚えていないのですが、私が興味を持ったぐらいなので、当時、大変話題であったと思います。記念すべき最初のプロンプト(指示文)は、「メタ意識とは何か?」でした(ChatGPTは、きちんと記録が残る点が嬉しいです)。ChatGPTからは、

「メタ意識とは、自己意識の高次の形態で、自己に対する認知プロセスを対象とした意識のことです。つまり、人間が自分自身を認識し、自己について考え、自己についての知識を持つことを指します。

メタ意識は、自己意識の中でも特に高次の形態であり、自己に対する洞察力や自己認識能力が発達している人に見られます。具体的には、自分の思考や感情、行動について考えたり、自分の思考や行動を制御したり、自分の認知プロセスについて分析したりすることができます。

メタ意識は、人間が自己について理解し、自己を制御する上で非常に重要な役割を果たします。メタ認知を高めることは、自己理解や自己調整の向上につながるため、個人の成長や発達にとって重要な要素となります。」

と回答があったので、続けて、

メタ意識の段階が人間の成長の指標であると主張したのは誰?

と投げかけました。すると、ChatGPTから、

「メタ意識の段階が人間の成長の指標であると主張したのは、アメリカの心理学者、ジョン・フラヴェル (John Flavell) です。

フラヴェルは、1979年に「メタ認知的発達」という論文を発表し、メタ意識が認知発達の過程でどのように発達するかを研究しました。フラヴェルは、メタ意識は発達段階によって異なると考え、幼児期にはメタ認知が欠如しているが、年齢が上がるにつれてメタ認知的能力が発達していくと主張しました。

フラヴェルは、メタ意識の発達は、自己の理解と制御に関する認識の発達に重要であると主張し、メタ意識的な能力の発達によって人間は自己理解や自己調整の向上が可能になると考えました。この考えは、現代の認知心理学や発達心理学においても広く受け入れられています。」

と回答が続きました。当時、私は、作文(教員論文)を書いていて、生徒が授業で深い理解を得るためには「メタ意識」が有効であると書籍にありましたので、試しにChatGPTに聞いてみたのです。当時、世間では「ChatGPTは、かしこい小学生」と揶揄されていましたが、相当頼りになるというのが最初の印象でした。

授業での活用(1)

 さっそく、こんな便利なものは、授業で使った方が良いと考えました。ところが学校でChatGPTにログインして、プロンプトを投げてもChatGPTから返答がきません。ネットワークのセキュリティでブロックされているみたいでした。そこで、学校のネットワーク管理者の先生と何度かやり取りしたのですが、使えるようにはなりませんでした。ブロックされているスクリーンショットや、なぜか「端末機器不具合報告書」を出すなどしましたが、無駄でした。はっきりとは言われませんが、「変なことを言うな」という扱いだったように思います。

 仕方がないので、自宅でChatGPTを使った例をパワーポイントに貼り付け、2年生の実習の授業で紹介しました。3月のことです。2年生は、就職活動の準備を始めていましたので、

私は、工業高校の3年生です。就職希望する企業に提出する履歴書の「志望理由」を300字程度で考えてください。

というプロンプトを投げかけ、ChatGPTからの以下の回答を紹介しました。

「はい、では以下のような「志望理由」を考えてみました。

〇〇企業を志望する理由は、同社が取り扱う〇〇に強い興味を持っているためです。工業高校での学習や実習を通じて、〇〇に関する知識や技術を身につけることができました。同社では、〇〇を通じて〇〇を支援しているという取り組みがあり、そのような活動に携わりたいと考えています。

また、同社の〇〇にも注目しています。私は、〇〇を通じて〇〇を解決するためのアイディアや提案をすることが得意です。同社の〇〇に携わることで、自分自身のスキルアップにつなげることができると考えています。

さらに、同社が〇〇を大切にしている点にも共感しています。私も、〇〇に関する規律やルールを守り、チームワークを大切にすることができます。同社の〇〇にも貢献し、共に成長していけることを期待しています。

以上が、300字程度での「志望理由」の例となります。ご参考にしていただければ幸いです。」

そして、生徒たちに、就職活動で活用して欲しいと言いました。また、この通りだと物足りないので、自分のエピソードを加えるようにもアドバイスしました。引き続き学校では、ChatGPTは使えませんでしたが(理由も分からず)、転勤になりました。

授業での活用(2)

 そして、転勤した高校で一段落が着いた頃(6月)学校で、ChatGPTにログインしてプロンプトを投げると返答がくるではありませんか。一体どうなっているのか、かなり感激しました。もちろん理由は分かりません。そこで、授業の中で、「ChatGPTに聞いてみよう」コーナーをつくろうと思いつきました。

 授業では、ChatGPTの実際を紹介しました。生徒たちの質問を私がChatGPTのプロンプトに入れて、その回答を実演で示しました。以下は、ChatGPTの回答は省略しますが、プロンプトの例です。

以上は2年生の授業でしたが、1年生の授業では、

などを実演しました。どの質問に対しても、ChatGPTは、面倒がらずに、そして的確に、まるで「先生」のように回答してくれたのでした。特にリズミカルに素早く返答してくれるのが壮快でした。

ChatGPTを禁止する文書がでる

 

そうした中、7月に文部科学省から「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」が出されます。

【文部科学省:「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」はこちらから】

https://www.mext.go.jp/content/20230718-mtx_syoto02-000031167_011.pdf

それを受けて、県教育委員会が各学校に通達を出しました。それを受けて本校でも方針が決定されました。突如、保護者向け文書が配布され、生成AIが教育活動で禁止になったことを知りました。この文書をそのまま記事にはできませんが、内容を一言でいうと、「学校として、十分なリスク管理ができるまでは、生成AIに関する教育活動は行わない」でした。末端の教員の私には、はっきり分かりませんが、県の方針は、2パターン提示され、それを各学校が状況に応じて選択したようです。保護者向け文書は、夏休み前に生徒に配布されました。こうして2学期からは、あの「ChatGPTに聞いてみようコーナー」はできなくなりました。

再度、ChatGPTを使わない文書を出す

 

夏休みのある日、管理職から私が授業でChatGPTを使っていたので、保護者に対し「お断り」の文書を出してくれないかと言われました私がChatGPTを使っていたのは、文書の配布前だったのですが、後で問題になるといけないからとのことでした。その時、管理職に、先の文書に対して保護者から何か意見等がありましたかと聞いたところ、無いとのことでした。当時、生徒も保護者もそれほど関心は、高くなかったようです。ちなみに、そのころのメディア報道では、生成AIに関する活用アンケートで6割の保護者が、生成AIの学校での活用を良しと回答していたように記憶しています。

 そこで、以下のような文書を取り急ぎ作りました。これは、後で述べるように日の目を見なかったものですが、「成仏」させたいので、その一部を記します。

「・・・これを受けて本校では、ChatGPT等の生成AIは利用しない方針をお伝えしたところですが、主体的・対話的で深い学び、最先端の学びとして、すでに4月から1年生の「・・・」、2年生の「・・・」で生成AIを用いた授業を行っていました。授業では、ChatGPTを使用してアイディア出しを行ったり、文章のまとめを行ったりして思考を深めることができる利点を、一方で、ChatGPTの回答には誤りを含むことがあるので、最後は自分で判断する姿勢が必要であるというリスクを伝えてきました。

今後につきましても、本校では生成AIを原則利用しない方針ではありますが、文部科学省はChatGPTの活用する授業を積極的に研究推進しているところでもありますので、上記科目に限定してChatGPT等の生成AIを活用した授業を継続していく予定です

つきましては、生徒たちが、これからの社会で不利な状況にならないためにも、生成AIを用いた授業の趣旨に御理解をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 なお、裏面にて、なぜ今ChatGPT等の生成AIを学ぶ必要があるのかと、どのような授業を予定しているのかについて記載しましたので、ご一読いただけると幸いです。

担当:テラオカ

電話:・・・・

 以下裏面の文章です。

なぜ今ChatGPT等の生成AIを学ぶ必要があるのか

発明や発見が世界の経済に影響を及ぼす可能性のある技術のことを「汎用技術(General-Purpose Technology」と呼んでいます。内燃機関や電気、コンピュータ、インターネットなどが該当し、社会を大きく変化させてきました。ChatGPTに代表される生成AIもそれに匹敵すると予想されています。すでに、ChatGPTは、全世界で数十億人が日常的に使っています。

カール・マルクスは、著書『経済学批判』の中で、「生活様式としての「土台」あるいは「下部構造」が法律あるいは政治、社会制度などの「上部構造」と、イデオロギー、文化、道徳、宗教、芸術、思想などの観念形態を規定する」と述べています。この仮説は、すでに証明されてきましたが、今後、汎用技術になったChatGPT等の生成AIがインフラとなった生活が政治や社会制度、文化を変えていくことも新たな証拠になりそうです。

今の生徒は、「人生100年時代」を生きます。新たな技術に適応していくことが大切です。港にいる船は安全だが、船はそのために造られたものではありませんリスクを極端に過大視するのではなく、小さく失敗しながらも試行錯誤して大きく学ぶことが重要です。新たな技術は今後次々に現れてきます。この機会を通じて学び方を学んで欲しいと考えています。

どのような授業を予定しているのか

 3つの内容を授業の中で伝えていきたいと考えています。

一つは、歴史を踏まえた技術の話、

二つ目は、活用方法の話、

三つ目は、私の活用事例です。

 まず、技術に関してですが、ChatGPTは、大規模言語モデル(LLM)の一つです。LLMは、第3次AIブーム(2010年代)を牽引した画像認識で有効なCNNや、時系列データに有効なRNNとは異なり、Transformerという技術を使っています。このTransformerは、2017年にGoogleなどの研究者たちが発表した”Attention Is All You Need(あえて訳すと「必要なことは注意すること」)”という論文で初めて登場したモデルです。このような論文を読むと、なぜ今、様々な企業や国(日本政府を含めて)がLLMへ大規模な投資を行うのか?投資ならば費用対効果を検討しなければならないが、なぜこれほど積極的なのか?また、最近、研究者の中で、「シンギュラリティ(AIが人間を超える、AIが自身で自分を学習する)が近いかもしれない」と発言する方が増えてきました。何を根拠(定量的な指標は何か)にしてそう述べているのか?などの答えを読み取れる気がします。授業では、論文をAI翻訳して(寺岡は高校英語の教員免許をもっていますが得意ではないため)紹介していく予定です。AIの歴史を踏まえてAIの技術の流れを説明していきます。

 二つ目は、ChatGPTの活用事例を紹介します。現在、文部科学省が推進していることもあり、学会や大学、教育系企業が教員向けのChatGPTの授業での活用事例研究セミナーを連日開催しています。昨日(8月23日)も東京学芸大学附属小金井小学校での活用事例がYouTubeで放映されており、参考にさせていただきました。また、本屋に行けば、ChatGPT関連のビジネス書が平積みされています。これら全てに目を通すことはできませんが、できるだけ情報を集めて、生徒にふさわしいように加工して紹介していきます。

 三つ目は、私の活用事例をうまくいかなかったことも含めて紹介します。私自身が授業を良くするための研究に使った例や、25組の生徒の方と取り組んでいる探究活動で生成AIを使った例を紹介します。25組の生徒の方は、12月に・・・大学が主催する高校生対象のサイエンスコンテストで発表する予定になっています。

 授業では、教科の指導もありますので、大した時間は取れませんが、隙間の時間を利用して引き続き紹介していきます。」

 要するに、学校としては生成AIを禁止しているが、私の授業では「特別区」のように、認めてくださいという身も蓋もない、真に身勝手なお願いでした。当然ながらこのようなことは認められるわけもなく、次のように書き直し、保護者に配布することとなりました。

「・・・これを受けて本校では、ChatGPT等の生成AIは利用しない方針をお伝えしたところですが、主体的・対話的で深い学び、最先端の学びとして、すでに4月から1年生の『・・・』、2年生の『・・・』で生成AIを用いた授業を行っていました。授業では、ChatGPTを使用してアイディア出しを行ったり、文章のまとめを行ったりして思考を深めることができる利点を、一方で、ChatGPTの回答には誤りを含むことがあるので、最後は自分で判断する姿勢が必要であるというリスクを伝えてきました。

つきましては、県教育委員会の方針が出される以前のことになりますが、生成AIを用いた授業の趣旨に御理解をいただきたいと思います。今後、学校全体として十分な対応ができるまでは、授業で生成AIを使った教育活動は控えることになります。よろしくお願いいたします。」

 一つだけ言い訳をさせていただくと、「生成AIに個人情報を入力すると学習される」というリスクがありますが、私からすれば、AIについて少しでも勉強していれば、そもそもそんなことは分り切っているのでしないというのが、正直な感覚です。ので、禁止、禁止と言う前に、AIリテラシーを教えることの方が逆に有効だと思えるのです。最近の報道では、ChatGPTは、一日に一億人のアクセスがあると報道されています。まさに「汎用技術」、「基盤技術」です。「キレてないですよ」。

【長州小力さんの「キレてないですよ」はこちらから】

生成AIを使うためのルール作り

現在、学校では、生成AIを使うためのルール作りが進められています。そんな中、各教科で、「授業で利用できる単元や場面」と「授業で利用する時の問題点や配慮が必要なこと」をまとめるように指示がありました。私の科では、以下のようにまとめました。

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授業で利用できる単元や場面

ChatGPTをはじめとするAIは、言語モデルであるため、言語を扱う活動全てに活用可能である。したがって、この基盤モデルの言語活動である授業への利用場面は、無限にある。

授業教材の作成の例

  • 統計処理データの作成:平均80標準偏差10の正規分布にしたがう1000個のデータを生成。
  • 英語の文法解説: ChatGPTを使用して、英語の文法ルールや例文を説明するテキストを生成。
  • 科学実験の説明: 理科の授業で、特定の実験手順を説明する文書を生成。
  • 歴史イベントの要約: 歴史の授業で、重要な歴史的イベントの要約を作成。
  • 数学の問題集: 数学の問題集を作成して、生徒が演習できるようにする。
  • 文学作品の分析: 国語の授業で、文学作品の分析やキャラクターの特徴についての資料を生成。

授業中での活用

  • 探究学習におけるプログラム作成の補助:必要なプログラムの関数を生成。
  • 探究学習におけるアイディア出し:議論の前のたたき台を生成。マンダラートの例を生成。
  • グループワークにおける議論:3人のキャラクターに議論をシミュレーションさせる。議論の方法を学ぶ。
  • 新たな用語の解説:高校生に分かるように200字で説明させて理解の一助にする。
  • 質問応答セッション:生徒からの質問に迅速に答えるために、授業中にChatGPTを使用する。
  • ディスカッションスターター:ディスカッションの始めに興味深い質問を生成させて、生徒に提供する。
  • 言語練習:英語の授業で、発音やフレーズの練習を行うための対話パートナーとして活用。
  • 逸話の共有:授業の単元で面白い逸話や事実を生成させ、興味を引く材料を生徒に提供する。
  • 演説の練習:生徒がスピーチやプレゼンテーションを練習する際、フィードバックのサンプルスを生成させる。

課題(宿題)への活用

  • 文章のまとめ方の見本:文章ビフォーアフターを比較した結果を生成させ、生徒にまとめ方を理解させる。
  • エッセイのアイディア生成:エッセイのトピックアイデアを生成させ、生徒の創造性を刺激する。
  • 外国語の翻訳:英語の宿題で、文章やフレーズの翻訳支援として活用。
  • プログラムコードのサポート:プログラム課題の解決策やエラーメッセージの例を生成させ、理解に役立てる。
  • 論理的思考問題:論理的思考の訓練として、論理パズルや問題を生成させる。

キャリア教育への活用

  • 自己アピール文の見本:プロンプトにキーワードを入れてひな形を生成。
  • 進学・就職での志望動機の見本作成と添削:プロンプトにキーワードをいれてひな形を生成。
  • 面接練習:プロンプトに志望動機を入れて、想定質問を生成。

学校行事への活用

  • 学校新聞の記事生成:学校新聞の記事や学校行事や重要なニュースを報道するためのひな形を生成。
  • イベントプログラムの作成: 学校イベントのプログラムの例を自動生成。
  • アナウンスメントの作成:学校イベントや重要なお知らせのアナウンスメントのひな形を生成。
  • 学校ブログの更新:学校のウェブサイトやブログに、定期的に更新するコンテンツのひな形を生成。

授業で利用する時の問題点や配慮が必要なこと

生成AIは万能ではない。生成AIの限界を理解することが重要。したがって、生成AIの答えを吟味する場面を設定し、生徒と共に検討していく姿勢が必要。また、今後、生成AIの技術は進歩していくので、変化に対応した継続的な取り組みも必要。加えて、ガイドラインやポリシーを生徒・保護者にも公開し、教員と生徒が適切に利用できることも必要。

情報の信頼性と正確性:

ChatGPTはオープンなインターネットからも学習しているので、正確性が確認されていない情報を提供する可能性がある。教育目的で使用する際には、情報の信頼性を確認し、必要に応じて他の情報源と照らし合わせることが重要。

倫理的配慮:

ChatGPTはトレーニングデータから収集した情報を元に回答を生成する。トレーニングデータにバイアスを含んでいると、不適切なコンテンツやバイアスのかかった情報を生み出すことがある。したがって、教育で利用する際には、バイアスの影響があるかもしれないという意識で指導することが必要。

プライバシーとセキュリティ:

生徒や教員のプライバシーとセキュリティを守るために、ChatGPTを利用するプラットフォームやツールは信頼性のあるものを選択し、適切なセキュリティ対策を講じる必要がある。ChatGPTには、プロンプトを学習データにさせない設定がある。

依存度の問題:

ChatGPTに過度に依存することは、生徒の創造性や問題解決能力の発展を妨げる可能性がある。したがって、ChatGPTの使用は、補完的なツールとして利用しすることに留める必要がある。

言語の適応性:

言語モデルは、複数言語をまとめて学習すると、自動的に異なる言語間の共通する概念の対応関係を学習し、各言語向けに対応できることが分かっているが、日本語では、回答の正確性が低いという報告もある。

利用規制と法的問題:

ChatGPTの利用には法的な制約や規制が存在する場合がある。教育機関や地域に適用される法律やポリシーを遵守することが重要。

技術的な制約:

ChatGPTは自然言語処理の技術を使用しており、特定の文脈や専門知識に対応する能力に制約がある。高度な専門知識を必要とする科目では、限定的な利用しかできない場合がある。また、ChatGPT(無償版:ChatGPT-3.5)は、2019年9月までのデータでしか学習していないので、それ以降の質問には対応できない。ちなみに、Bard(試験運用中)では、筆者の確認ではあるが、直近の質問にも対応できている。

生徒のプライバシー:

生徒の個人情報や学習データの取り扱いには慎重さが必要であり、適切なデータセキュリティ対策を講じる。したがって、プロンプトを学習データにさせない設定をし、また個人情報を入力しない。

技術の進化:

ChatGPTの技術は進化し続けており、新しいモデルやアップデートが頻繁にリリースされる。最新のモデルを適切に導入し、教育の要件に合わせてカスタマイズすることが求められる。

これらの問題点と配慮事項に対処することで、ChatGPTを教育に有効に活用することができる。

です。正直に述べれば、枠で囲まれた文章は、私が作ったものですが、その下の文章の6割のアイディアは、ChatGPTに考えてもらいました(修正はしています)。

【テラオカ電子:「生成AIの授業への活用に関する意見をまとめましたので報告します。」はこちらから】

動画では、枠の文章はテラオカが読んでいますが、その下の文章は音声合成です。ChatGPTが作った文章を自分で読むのは、少し気が引けましたので。

[5-9]まとめ

 現在、検討がされていますので、あの「ChatGPTに聞いてみよう」コーナーの復活も近いと思っています。文部科学省も拠点校(50校ぐらい)を指定して、生成AIの教育活動の研究を始めています。しかし、その報告書を読んでも、普段から生成AIを使い込んでいないと、良く理解できないと感じます。経験がないことはイメージしにくいですから。ですから、全てが決まるのを待つまでもなく、「探究」していくことが必要だと考えています。

【文部科学省:「リーディングDXスクール事業追加公募(生成AIパイロット校)」はこちらから】

https://www.mext.go.jp/a_menu/other/mext_02412.html

 さて、長々と述べてきましたが、ここらでおちを入れて終わりにしなくてはなりません。マーティン・セリグマンは、『ポジティブ心理学の挑戦』の中で、経済学者であるリチャード・レイヤードの話を述べています。少し長いのですが引用します。

「大方の学者先生と同様、あなたは公共政策とエビデンスの関係について迷信を持っているようですね。おそらく、説得力のある科学的なエビデンスをぐうの音も出ないほど増やしてからでないと、議会がプログラムを採用しないとでも思っているのでしょうね。私の政治人生を振り返っても、そんな例は一つも見たことがありませんよ。エビデンスが十分にあって、そこに政治的な意思が存在するときに、科学は公共政策となります。私が言いたいのは、あなたのポジティブ教育におけるエビデンスで十分だ、ということです。―「最低限の条件を満たしている」と我々経済学者は言いますがね―そして今、イギリス政府では政治的な意思が働いている、ということですよ。だから私はイギリスの学校にポジティブ教育を導入するつもりです」

 現在、日本政府は、生成AIに関して、「政治的な意思」が働いています。なので、学校に生成AIの教育を導入するのは時間の問題なのではないでしょうか。決して、「生成AIはいつ使えるのか?」と、怒っているわけではありません。今回は、ここまでです。

 最後までお付き合いいただきありがとうございました。ご意見・ご感想等がありましたらコメントをお願いします。

テラオカ電子 

【2023/11/20投稿】

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