第19回 人生を変えたいと思いますか?

第19回人生を変えたいと思いますか?

第19回 人生を変えたいと思いますか?

「みどりのカーテン請負います -地域の環境と省エネ向上に貢献します -」の探究活動

皆さん、こんにちは。テラオカ電子です。今回も前回(第18回)に引き続き、ビジネスプランコンテストの探究活動を述べます。2012年度のもので、少し古い活動なのですが、当時の状況も分かり面白いと思いますので、最後までお付き合いください。

この活動に関して、昔の資料を調べていたら、どこに投稿したのか不明の論文が見つかりました。今回は、その論文を引用して振り返りたいと思います。なお、[*****]で補足説明をしています。

いつものように、生徒たちがビジネスプランコンテストで発表した内容を私が代読した形ですが、YouTubeで一般公開しています。以下のリンクから動画を視聴できます。見て頂けると後の話が良く分かると思います。

【テラオカ電子:「「みどりのカーテン請負います」ビジネスプランコンテスト(2013)」はこちらから】

【タイトル】ビジネスプランコンテストを活用したキャリヤ教育の実践事例報告

目次

【1 はじめに】

教員は生徒に夢を与えなければならない。[これは、この活動の前任校の校長がよく言っていた言葉です]

昨今の日本経済の低迷は、企業採用にも影響を及ぼしており、そのため将来に希望が持てない生徒が多い。一昔前のように、人並みに努力すれば報われ、安定した生活が得られる保証が得られなくなっている。まさに職業意識の形成が難しい時代である。[現在は景気がこの当時と比べてかなり良くなっています。嬉しい限りです]

ところで、高校生は進路を決定しなくてはならない。一般的に進路ガイダンスで提供される進路先から自分の希望に近いところを選ぶが、その決断を良いものにするためには、そもそも仕事とは何か。なぜ働くのか。やりがいとはなにかを考える場が必要である。[こう書きましたが、最近は、そもそもやりがいを見つける自体が、不可能ではないかとも思っています]

キャリヤ教育の一環としていくつかの大学がビジネスプランコンテストを開催している。ビジネスプランコンテストでは、生徒は興味のある仕事を実社会で通用するビジネスプランに仕上げていく。その過程で様々な課題を見つけ、それを解決する方法を考える。こうした体験を通して、仕事とは何か、仕事のやりがい、仕事の面白さ、楽しさを見出すことが出来る。ビジネスプランコンテストは、職業意識を持たせる場として良いキャリヤ教育になる。[最近また、この雰囲気が盛り上がっている気がします]

また、ビジネスプランコンテストでは、プレゼンテーションを行うが、これは、自己表現力の向上や自己の客観化を深めることにもなる。

本研究は、筆者が担任していたクラスの生徒(1年生:女子3名)がビジネスプランコンテストに応募し、決勝大会で発表した事例報告である。ここでの指導にあたり、ビジネスプランのコンセプトやビジネスに必要な要素は、商業科の教科「ビジネス基礎」を参考にした。また、発表時のプレゼンテーションに関しては、情報科の「プレゼンテーション」の項目を参考に指導した。これらの指導は、共同研究者(同僚3名の教員)とともに行なった。[前任校で商業と情報を教えていたことが役にたちました。この探究は、教科横断的な活動になります]

結果として三重県にある皇學館大学が主催する第5回ビジネスプランコンテスト(通称:皇-1 GP)で2位を獲得した。この結果は、生徒に夢と自信を与えることができたと考えている。[大変感謝しています。この場を借りてお礼申し上げます]

【2 研究概要】

本研究は、平成24年7月から平成25年2月までの活動報告である。対象は、全日型通信制高等学校である私立高等学校 (全校生徒数約450名)の1年C組(クラス生徒数36名)の生徒(女子3名)である。[学校名は伏せてあります]

応募したコンテストは、皇學館大學(三重県伊勢市)の第5回ビジネスプランコンテスト(皇-1GP)である。これに応募した理由は、時期的に夏休みにプランを練ることができるからと、筆者が、これまでに同大学の第3回、第4回のビジネスプランコンテストに生徒を応募させ、決勝大会で発表させた経験があったからである。(第3回のビジネスプランコンテストでは、3年生の女子2名で2位を獲得した)[第3回、第4回のビジネスプランコンテストについても、機会があればこのブログ記事で述べたいと考えています。この活動が私にとって探究学習指導の「始めの一歩」でした]

生徒は夏休みに登校し、本校の電算実習室でプランを練った。プランの指導については後述するが、チームで議論することにこだわって指導した。われわれは、これを「ワイガヤ」と呼んでいる。[「ヤイガヤ」とうのは、企業のQCサークルでよく使われる言葉である]

このビジネスプランコンテストは、1次評価(書類審査)が平成24年12月17日(月)にあった。なお、審査の通過の連絡は、皇學館大学より生徒と学校の両方にあった。1次評価の通過は、5組(三重大学1グループ、皇學館大學3グループ、本校1グループ)であった。高校生は本校のみであったので大学生の胸を借りるつもりで臨むように指導した。平成25年1月12日(土)に皇學館大学で事前説明会[後述する「ブラシアップセミナー」である]があり、昨年度(第4回)の優勝グループのプレゼンテーションをビデオで見た後、発表の仕方の注意事項、会場の確認、最後に発表順序のくじ引きが行われた。2次評価(公開プレゼンテーション大会)は、同大学にて平成25年2月16日(土)に実施された。結果、1位は三重大学の「救急医療への医学生派遣事業」、2位に本校の「みどりのカーテン請負います」、3位に皇學館大學の「伝統工芸による神話の創造」が選ばれた。図1に本校の発表の様子を示す。

講評では、本校のプランに関して、「地についたアイディアのビジネスプランである」と評価を頂いた。この大会の模様は、中日新聞(三重県版)、伊勢新聞で記事になった他、地元のケーブルテレビでも放映された。図2に表彰後の様子を示す。また、図3に本校生徒が伊勢市のケーブルテレビ局にインタビューされている様子を示す。[この時、ある方から声をかけられ「生徒たちは1年生です」と答えたら、驚かれました]

【3 ビジネスプランの指導】

[ここからが本題です]

(1) ビジネスプランコンテスト参加生徒の募集

生徒の募集は、筆者が担任している1年C組(36名)で行なった。ビジネスプランコンテストのポスターを教室に掲示し、HR等で告知を行なった。その上で、個人面談をして、人前でプレゼンテーションをする資質がある生徒や、職業意識が高い生徒に声をかけた。十数名が興味を示したので、放課後集めて説明会(キックオフ会議)を行なった。説明会では、ビジネスプランコンテストの流れを説明した後、筆者がこれまでに指導したビジネスプラン(第3回、第4回で発表した皇學館大学ビジネスプランコンテスト)を紹介した。また大阪商業大学が主催しているビジネスプランコンテストの優秀賞プランのビデオ(大阪商業大学のホームページで公開)を見せた。生徒の反応は、難しそうだや、応募しても決勝大会に進出できる可能性は分からないなどがあったが、チャレンジすることが大切だと指導して、最終的に女子3名、男子2名が名乗りをあげ応募することになった。この内、女子2名と男子2名は、筆者が顧問をするパソコン同好会の生徒である。従って、声かけや説明会を開いてビジネスプランコンテストの面白さを伝えたつもりであったが、生徒の興味や関心を高めることは出来なかった。今回は1年生を対象にしたが、2年生を対象とすればより参加意識は高くなったかもしれない。本校では、夏休みや冬休みにインターンシップ(希望者)を行なっている。そうした経験を持った生徒を対象にしてこのビジネスプランコンテストを活用することも有効であると考える。

[当時の募集ポスターは以下のようなものです]

() 男子チームが応募したビジネスプラン

男子2名は、筆者が顧問をするパソコン同好会の生徒である。パソコン同好会では、この男子生徒に高齢者向けの電子ゲーム機器を製作させていた。そして秋に近県の大学が主催する高校生のサイエンスコンテストで発表する予定であった。そこでこの生徒2名には、この電子ゲーム機器を売り出すビジネスプランを考えさせた。[彼らが発表したサイエンスコンテストでの活動は、このブログ記事で紹介していく予定です]

どういう方法を使えば売上を増やせるかをテーマに、生徒2名と教員が集まり、ブレーンストーミングでアイディアを出させた。まず、生徒にブレーンストーミングの意味と方法を指導した。とにかくアイディアを多く出すことが大切であること。質よりも量が重要であること。他人のアイディアや意見を否定や非難しないこと。他人の意見に便乗しても良いこと。などを指導した。出されたアイディアは、教員がプリントにメモをしていき、教員が主導でアイディアの関連性を生徒に示して整理統合を図った。[アイディア生成の方法と整理について、KJ法をベースに指導しました]

以上のように男子のビジネスプランについては、個別のアイディアは生徒の意見を反映したものであるが、教員が司会、まとめ役を行いプランの全体像を作った。これはこの高齢者向けの電子ゲーム機器の製作を教員主導で行なっているためである。しかしながら、個別のアイディアでは、面白いものを生徒から引き出せたので良かったと考えている。

こうして議論してまとめたビジネスプランを皇學館大学のビジネスプランコンテストの応募用紙に生徒に書かせた。用語の使い方や文章構成を添削して、パソコンで清書させた。男子チームのビジネスプランは、残念ながら決勝大会に進めることが出来なかったが、こうした過程が大切であるので、生徒にとってはよい経験になったと考える。男子チームの最終的な応募プランは以下の通りである。

【ビジネスプラン名】

孫がつくる高齢者向け電子ゲーム機器の組立キットの開発と販売

【事業計画の概要】

私たちパソコンクラブは、高齢者の能力開発のための電子ゲーム機器(指たたきくん)を開発した。指たたきくんは携帯型のゲーム機器で、上面の6個のLEDがランダムに点灯し、その点灯したLEDに対応するスイッチを押すと得点となる、いわゆる「もぐらたたきゲーム」である。それは小中学生でも簡単に組立てられるようにキットにしている。コンセプトは、そのゲーム機器を小中学生の孫が組み立てて、祖父母にプレゼントするものとしたことである。かわいい孫からのプレゼントなので祖父母は大切に長く使う効果がある。また、ここに家族の絆が生まれる。販売は、夏休みや敬老の日にこども科学教室などでこのキットを教材として取り上げて頂いたり、インターネット販売をしたりする。[前回(第18回)で紹介したビジネスプランのベースがここで作られました]

【事業内容の新規性・独創性】

・小中学生の孫でもつくれる簡単なキットにしたこと。
・孫の電子機器の勉強にもなる。
・祖父母に孫がプレゼントするので、祖父母は長く大切に使う効果がある。
・こども科学教室などの教材としても使える。

【販売方法とPR方法】

・こども科学雑誌への広告
・科学館、博物館でのこども科学教室での実演
・インターネットショップへの委託
・ホームセンター、電子部品店での販売

【地域活性化への効果】

・地域で開催する敬老の日のイベントに孫が参加できる科学教室を開催して、そこで、祖父母が孫と一緒にキットをつくる楽しい時間を設ければ、家族の絆は深まると思う。
・地域のイベントをたくさん増やすことは、地域の活性化になると思う。
・最近、問題となっている小中学生の理科離れの防止にもなると思う。

() 女子チームが応募したビジネスプラン

女子3名中2名は、筆者が顧問をするパソコン同好会の生徒である。この3名は普段から仲の良い集まりである。夏休みの初めに3人に集まってもらい議論した。

この3人には、テーマとして「この暑い夏を快適に過ごせるためのビジネスプラン」を与えた。テーマ自体を生徒に考えさせても良いが、後のチームでの議論を考えると教員が与えた方が生徒間に力関係が生まれない分良いと考えた。また、テーマは身近なものの方が色々なアイディアが出せると考えた。

生徒3名と教員が入り、ブレーンストーミングを行なった。ここで出たアイディアは、生徒の1人に板書させた。ブレーンストーミングのやり方や注意は、男子の場合と同様に指導した。途中アイディアが出なくて息詰まる場面もあったが、筆者が以前ビジネスプランコンテストで発表した女子生徒がこのコンテストに参加したことで、「人生が変わった」と言ったことを話すなどして頑張るように指導した。

男子の場合と同様に、出されたアイディアをグループ分けし、さらに関連付けしてプランをまとめた。グループ分けや関連付けは、教員が誘導して黒板に書かせた。最終的にビジネスプラン名は「みどりのカーテン請負います」に決まった。[このアイディア出しの「型」を生徒に意識して欲しいと考え、プレゼンの冒頭に、この過程を入れました。「教育的プレゼン」に仕上がったと感じています]

次に、ビジネスとして事業を考えていくために、教科「ビジネス基礎」で示されているビジネスの4要素について指導した。ビジネスの4要素とは、「人」、「モノ」、「資金」、「情報」である。この4要素についてプランをさらに具体化させた。ここは、生徒と教員が対話しながら指導した。[ここでの展開は、教科「ビジネス基礎」の内容を参考にしています]

「人」については、アルバイト募集をメールでエントリーしてもらう方式を考えた。「モノ」については、種、プランター、ロープなどを最適な組合せで提供する方法を考えた。「資金」については、エコ意識の高い企業とタイアップする方法を考えた。「情報」については、オリジナルの観察日記を配布することを考えた。 最終的なプランは以下の通りである。

【ビジネスプラン名】みどりのカーテン請負います

【事業計画の概要】

夏の暑い時期、日射しを遮るみどりのカーテンを提供するビジネスプラン。省エネと地域の緑化に貢献する。

・オーダーメイドプラン:作りたいけど難しい、お金がかかる、失敗しそうと思っている人にも大丈夫なようにお客様の望む植物や大きさなどを細かく反映して提供するプラン。
・お任せプラン:いくつかのタイプを準備してお安く提供するプラン。
・秋になったら、スタッフが撤収するサービスも用意する。
・毎週、定期的に成長記録を作り、お客様にカードとして贈る。小さい子どものいる家には観察日記として使ってもらう。また、お客様には会員になってもらい、来年度も継続してもらうようにする。
・毎週、定期的に成長記録を作り、お客様にカードとして贈る。小さい子どものいる家には観察日記として使ってもらう。また、お客様には会員になってもらい、来年度も継続してもらうようにする。

【事業内容の新規性・独創性】

従来は自分でするしかなかった、みどりのカーテンをお手軽な料金で手間暇かけずに用意することができる点。

・オリジナルの観察日記を会員に贈り、植物の成長を楽しんでもらえる点。
・台風などの気候の不順で、うまくみどりのカーテンが出来なかった場合は、保険で料金を補償する。
・お客さんには、会員になってもらい来年度も継続してもらう。

【販売方法とPR方法】

・インターネットショップ
・ホームセンターでのチラシ、ポスター
・近所の人から、少しずつ広めていく(口コミ)
・新築の家のオプションとしてつける。住宅会社とタイアップ。

【地域活性化への効果】

・自然に優しく、環境にいい。
・地域の景観をよくする。
・子どもの理科学習になる。

女子チームのビジネスプランは、1次審査を通過し決勝大会に進むことになった。 次に決勝大会での発表のプレゼンテーションの指導を行なった。発表のスライドは、1次審査に不合格であった男子チームも加わって全員で準備させた。スライドはパワーポイントを使ったが、全員作り方を知らない状態であったのでスライドの作り方から指導した。

生徒は決勝大会に出られるということでモチベーションが高かったのでスライド作成は直ぐに習熟した。そして各生徒が作成したスライドを1つにまとめさせた。 プレゼンテーションは、単純にスライドを写しながら説明をしていく方法では面白くないので、5分間のプレゼンの途中で寸劇を入れることを考えた。これは、3名の女子生徒の内1人がエンターテイメント性に優れていたからである。校外学習(遠足)へ行った際、バスの中でカラオケを歌った時など際立っていた。 寸劇は、「人」の臨時スタッフの募集のスライドで2人がペアになって行なった。 図4に、その時のスライドを示す。[この活動に参加した生徒は、自己表現力の高い生徒でした。今回の活動で、さらに、自分の能力を高められたのではないかと考えています。もちろん、そうでない生徒にとっても、新たなチャレンジでしたので、貴重で有意義な体験になったと思います]

寸劇のセリフは以下の通りである。

生徒A:「「人」です。」
生徒A:「臨時スタッフの募集は、バイト.com 方式で行います。」
生徒A:「これは、まず、アルバト求人情報誌などに広告をだし、主に学生、高齢者など、多くの方 にアルバイト登録をしてもらいます。」
生徒B:「(求人情報誌を見ながら)このアルバイト面白そうだわ。登録しよっと。」
生徒A:「登録して頂いた方を面接試験して採用者 を登録します。お客様から注文を受け仕事が発生したら、登録者全員に募集メールを送ります。そして仕事を希望する方にエントリーメールを返信して頂きます。」
生徒B:「(携帯をさわりながら)りりり、あら、仕事の依頼だわ。この日は空いているから、エントリーしよっと。」
生徒A:「次に、エントリーして頂いた方から、経験、地域などを考慮して、採用メールを送ります。」
生徒B:「(携帯をさわりながら)りりり、あら、採用されたわ。よし、頑張るわ。」
生徒A:「こうして、必要なときに必要なスタッフを集めます。」

リハーサルは何度も行なった。生徒は、リハーサルの時に自分の携帯の着信音を鳴らすことを取り入れたりして自分たちで完成度を上げて行った。

図5に最後のまとめのスライドを示す。 まとめは、寸劇をやらなかった残りの生徒[スライドの操作をしていた生徒]が以下のセリフで行なった。

「まとめます。」
「私たちのプランは、夏の暑い時期、日差しをさえぎるみどりのカーテンを提供するものです。」
「プランは、オーダーメイドプランとお任せプランを準備し、そして、きめ細かいサービスを提供します。」
「私たちのこのプ ランにかける想いは、一昨年、東日本大震災があり、大規模な省エネを強いられることになりました。特に夏場は電力が心配だと言われています。私たちは、このプランを通して、少しでも、緑が増え、エコにつながればよいと思います。」
(全員で)「ご清聴ありがとうございました。」

リハーサルは、男子チームも参加して行なった。男子チームからは、そこのところが分かりにくいなど有益な指摘もあった。また、本研究に関係無い教員にもリハーサルを聴いてもらい意見を求めた。初めて聴いた時の印象の指摘が参考になった。さらに、プレゼンテーション大会の前日に、学年の芸術鑑賞会(映画鑑賞会)があったので、それの終了後時間をもらいプレ発表を行なった。多くの人を前にしてプレゼンを行うことで度胸を付けることができたと同時に、プレゼンを聴いた生徒にも良い刺激になったと考える。[公開リハーサルをお願いした文書がありましたので示します。自由にやらせてくれる学校でした]

結果、リハーサルのかいがあり、大学生に混じって2位を獲得した。講評では、「こうしたビジネスプランでは得てして壮大なプランが多いが、現実的な地についたアイディアのビジネスプランである」と評価を頂いた。また、高校生であることからプレゼンの内容が教育的効果を有するものになっており良かったと考える。プレゼンテーション大会の後の反省会で、生徒は、「来年もやってみたい」、「もっと面白いプランを考えたい」などの感想があった。

【4 まとめ】

1年生の生徒にビジネスプランコンテストに応募させ、プレゼンテーション大会で発表させた。今回、男子チームと女子チームの2件を皇學館大学主催の第5回ビジネスプランコンテストに応募させた。

ビジネスプランは、チームでブレーンストーミングを行い練った。生徒はブレーンストーミングの方法を知らなかったので、方法や注意事項を丁寧に指導した。男子チームは決勝大会に進むことができなかったが、運良く女子チームは、1次審査を通過し決勝大会に進んだ。

決勝大会のプレゼンテーションの発表スライドは、男子チームも協力し全員で作成した。プレゼンテーションは、パワーポイントのスライドに従って淡々と説明するのではなく、途中で寸劇を取り入れたものにした。これは生徒の個性が最大限に発揮できるプレゼンテーションにするためである。そしてリハーサルを何ども繰り返して臨んだ。リハーサルでは寸劇の効果音を生徒たちのアイディアで設定して作り上げていくこともできた。また、リハーサルで男子チームも有益なアドバイスを出していた。さらに、学年集会でリハーサルを行い、本番への度胸を付けさせた。その結果、プレゼンテーション大会では大学生に混じり2位を獲得した。

コンテストを目標に、生徒はビジネスプランを議論によって練り上げていく体験ができた。議論をすることが少ない今の生徒に取って良い経験になったと思われる。また、ビジネスのプランを考えることで職業意識が高められたと考えられる。

さらに、スライド資料の作成方法、プレゼンテーション技術を身につけることができた。今回特にプレゼンテーションに寸劇を入れたことで、自己表現力の練習ができたと思われる。また、学年集会でリハーサルをやることで、同年代の生徒に対しても刺激を与えたと考える。今後の彼女ら彼らの成長を期待したい。

【5 謝辞】

筆者については、3年連続で皇學館大学のビジネスプランコンテストの決勝大会に参加させて頂きました。特に、ブラシアップセミナーでは毎年興味深い講義を聴かせて頂き感謝致します。この場を借りて深くお礼申し上げます。[このビジネスプランコンテストでは、決勝大会進出のグループ(個人)に対し、会場の下見を兼ねた「ブラシアップセミナー」を受講させてもらえます。審査員の一人であるビジネスコンサルトの方が、プランのまとめ方やプレゼン発表のポイントを講義します。これの参加は、生徒のモチベーションに繋がりました]

【本探究活動のまとめ】

今回は、「みどりのカーテン請負います -地域の環境と省エネ向上に貢献します-」の探究活動を紹介しました。

私は、この活動の翌年、県立高校に採用される訳ですが、学年末のクラスの保護者懇談会の時、参加した生徒の保護者から、中学の時はどうなるのかと心配しましたが、活動に参加することで元気になって嬉しいと涙ながらに感謝されました(本当です)。生徒や学校環境にも恵まれて、良かったと感謝しています。ちなみに、学校を去る時、教頭から「80点だったね」と言われました。厳しくチェックされていたのだと後から分かりました。実際、指導がうまくいかず、やめていった生徒もいたわけですから。

ここまで読んでくれて、ありがとうございます。

ご質問・ご意見・ご感想等がありましたらコメントください。

テラオカ電子 

【イチオシのYouTube動画】

このコーナでは、記事に関連する(関連しないかもしれません)気になるYouTube動画を紹介しています。この年、ビジネスプランコンテスト参加は3年目になり要領も分かってきました。また生徒にも環境にも恵まれ成果を出せた年でした。加えて、翌年県立高校に新規採用されることも決まり充実していました。でも、当然「楽あれば苦あり」で良くない時期もありました。今回は、苦しい時期によく聞いていた、Globeの『Wanderin’ Destiny(1997)を紹介します。「青い鳥」というドラマの主題歌だったのですが、この後ドラマの脚本家が亡くなります。輪をかけて辛かった時期でした。

「青鳥/L’oiseau Bleu(豐川悦司/夏川結衣)~ Wanderin’ Destiny/Globe」

こんな古い曲には、興味が無いと言う方は、こちらをどうぞ。Official髭男dism の『Subtitle(2022)です。私は、こちらを聞いても同じ感覚をもちます。「冗談でもそんな残酷なこと言わないでよ 別に言えばいいけど 全人生を賭けてもちゃんと覆さしてよ」の歌詞が刺さります。

「Official髭男dism – Subtitle [Official Video]」

今回は、「さまよえる運命」繋がりでもう一つ紹介します。先日、ある生徒と進路について話をしていたとき、自分の容姿から考えていた進路をあきらめたと言われました。私は充分に魅力的だと思うのですが、本人は否定します。そこで、ダブの『リアル ビューティー スケッチ』を紹介します。この動画のコンセプトは、「他人が私たちをどのように認識しているか、そして私たちが自分自身をどのように認識しているかの間のギャップを探求しています。」です。有名な動画ですので是非観てください。

「ダヴの本物の美しさのスケッチ |あなたは思っているよりも美しいです (6分)」

【2024/02/04投稿】

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